ハッピーエンド

不安が爆発するのを回避するためのもの

幻のおじさん

会社から帰宅し、家に入った瞬間

うわ!おじさんの匂いだ!

見知らぬおじさんの匂いが家中に漂っている。リビング、キッチン、脱衣所、あらゆる部屋からおじさんの匂いを感じる。どこだ!おじさんはどこにいるんだ!!!と風呂場、トイレを見回るがおじさんはいない。残すは寝室。怖い。布団で見知らぬおじさんが寝てたらどうしよう。わたしはベッドより布団派なのだ。おじさんも布団の方が落ちついて寝付けるのだろうか。シングルの布団。おそらく太っちょなおじさんには狭いだろう。そんな太ったおじさんに勝てるだろうか。わたしはおじさんと対面した瞬間どうなってしまうんだ!!意を決して寝室のドアを開ける。

誰もいない。

おじさん?いないの?おじさん?問いかけても返事はない。じゃあなんでこんなにおじさんの匂いがするの…逆に怖い。透明なおじさんが加齢臭を漂わせながら部屋から部屋へ移動してるのか。こんなにくさいんだから姿を現してよ。

とりあえず座ったものの椅子に生ぬるさを感じるような気がする。さっきまでおじさんが使ってたのかもしれない。

わたしはおじさんの気配と過ごすことにした。

しかし鼻からおじさんが離れない。落ち着かない。おじさん捜索を再開する。

キッチンに強いおじさんを感じる。コンロの辺りがビンビンにおじさんだ。ついにおじさんを見つけた。

 

そこには少しカビたニンニクが転がっていた。痛んだニンニクはこんなにも匂いを発するんだね。

こんにちはおじさん。さようならおじさん。